WORKS 活動報告

「やっぱり保育って、おもしろいんだな」迷いながら、子どもと向き合う若手保育者の話

奈良教育大学附属こども園で、保育者同士の学び合いの場が開かれました。集まったのは、他園で働く保育者およそ10名。十数年のブランクを経て現場に戻った方、50代で初めて保育の仕事に就いた方など、背景はさまざまです。

この日は、保育見学や若手保育者による発表、座談会が行われ、保育を多角的に見つめ直す時間となりました。

 

 

今回紹介するのは、保育者8年目のUさんの発表です。
テーマは「やっぱり保育って、おもしろい!」

「もう先生にはならない」と思った学生時代

最初にお話してくださったのは、保育者8年目になるUさん。

中学生の頃から保育者になりたいと思い、大学も保育系の大学に進学しました。
けれど、大学2年生の保育実習で気持ちが滅入ってしまい、子どもの頃からの夢は大きく揺らいでしまったそうです。

スライドを用いて発表するUさん

 

「保育園実習がとにかく大変でした。3年生になっても、『先生にはなりません』って書いて提出したような記憶があります。」

苦笑いを浮かべながら当時のことを振り返るUさん。
そんな彼女の心を動かしたのは、その後の幼稚園実習での出来事でした。

「本当に楽しい幼稚園実習だったんです。子どもの様子を観察したり、保育内容を試行錯誤したりして。先生のもとで子どもの姿が生き生きと変わる瞬間を学ばさせてもらいました。
そこから、保育ってすごくおもしろいな。子どもって素敵なんだなと思うようになって。
『あっ、保育者になろう』と決意して、今、ここにいます。 」

 

 

経験があるからこその不安

3歳〜5歳クラスを中心に経験を重ねてきたUさんですが、
数年振りに乳児クラスを担当することになり、心配が大きかったと言います。

「久しぶりに乳児と関わると、目についたもののところへ行く子がいたり、予想がつかない遊びをする子もいたりして。『一人一人をしっかり見ないと』と思いつつも、4・5歳の子たちとのギャップに難しさを感じていました。」

1年目、2年目の頃よりも、視野が広くなった8年目。
気付けることが増えたからこその不安があったと振り返ります。

 

保育の魅力について話すUさん

 

そんな不安を変えようと、Uさんは初心に帰り、いろんなことを試したそうです。

「まずは、とにかく一緒に遊ぶこと。はじめましての子どもたちと、同じ場所で同じものを持って、同じ気持ちになる。次に、文字で気持ちを書き起こすこと。頭の中をスッキリさせるために、自分なりの方法を見つけていました。そして3つ目が、動画や写真を撮って見返すことです。一人ひとりの子どもが、何を見て、何に気づいて、何をしようとしていたのか。興味や関心を細かく観察するために、すごく役立ちました。」

今の保育現場では、iPadなどのタブレットを定点カメラ代わりに使い、子どもの姿を記録することも珍しくありません。
動画を再生し、自分が一緒に遊んでいる時には気づかなかった子どもの動きや、何気ないつぶやきを後から拾い上げているといいます。

大人から離れ、子どもが成長してくことが喜び

最後に、子供の成長を感じたエピソードを話してくださいました。

「ある子の変化です。
その子は5月から登園していたのですが、慣らし保育があったりして、みんなと給食を食べるようになったのは9月に入ってからでした。だから最初は友達と関わることが少なかったんです。でもある時から少しずつ、周りの子の仕草を見て真似るようになっていきました。
そこから急に子ども同士の世界が広がりました。1ヶ月後、友達と手を取り合ってジャンプしたり、腕を振ったり、とても楽しそうに遊ぶことが増えていったんです。」

保育者との信頼関係を基盤に、少しずつ大人から離れて外の世界へと広がっていく。
その成長をそばで見られて、保護者と一緒に喜び合えるのが、やっぱりやりがいだと、語っていました。

「やっぱり子どもたちってとっても尊いな、すごい素敵な存在だなと思っています」
Uさんの言葉には、迷いも不安も、そして確かな喜びも込められていました。